#119 平和主義は語れず

 広島への原爆投下から76年となった6日、広島市中区平和記念公園で平和記念式典が開かれた。あらゆる核兵器の開発や実験、使用などを禁じる核兵器禁止条約が1月に発効して初めて迎える「原爆の日」。菅義偉首相は式典のあいさつのうち、「我が国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり、『核兵器のない世界』の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要」などの部分を読み飛ばした。

 読み飛ばしの原因は原稿がのりでくっついて剥がれなかったことらしい。なんとも幼稚な弁明だろうか。読み飛ばしに気づかないという事は原稿の内容を把握しておらずただ読むだけの行為になっていたのだろう。日本国憲法の基本原則の一つの平和主義に関わる式典にこのような失態。日本を牽引するはずの存在である人間にあるまじき行為ではないか。

 全て完璧な人間などいない。確かにそれはそう。失敗は誰にでもあるし、次同じ失敗をしなければ良いと思う。しかし、平和主義を謳う日本の代表のあいさつの読み飛ばしは失敗をしてはいけない場面であった。そもそも失敗どうこうじゃなく、原爆の被害者を思いやる心があればこのような失態はおこなさいのではないか。