#32 赤木ファイル

 学校法人森友学園大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、自死した同省近畿財務局職員赤木俊夫さん(当時54)が改ざんの経緯を記したとされる「赤木ファイル」の存在を国が認めた。赤木さんの妻・雅子さんが国などに損害賠償を求めた訴訟の中で、文書で回答すると見られる。

 国はこれまで、ファイルの存在について「裁判の争いに関係せず、存否の回答をする必要がない」と主張。今回、文書での回答がどこまでの開示なのかということに焦点がいく。というのも、開示の際に「黒塗り」で真相解明を阻む可能性があるのだ。

 「黒塗り」とは、国有地売却や文書改ざんに直接関係のない第三者を守るために、文書の一部をマスキング処理することである。

 これまで「争点とは関係ない」「裁判に影響が出る」などとしてファイルの公開をせず、真実の隠蔽を図ったような態度をとってきた。隠蔽工作は、紛れもない権利の濫用であり、あってはならない。国のために奉仕した赤木さん夫婦が報われるためにも「黒塗り」での隠蔽工作はしてはいけない。