#108 線引き

 賢い大人の線引きは難しい。どこまでの知識があって然りべきかそれぞれ価値観によるものだと思う。しかし、知っていないとまずいという常識的なものが知識として無ければ、やはり賢い大人とは呼べない。悲しいことに、賢い大人とは呼べない者にはそれなりの報いがあるというのが世の常である。

 災害法について執筆された本について、有識者達と議論が行われた。コロナ禍によって普及したzoomの恩恵は計り知れない。議題となった本には、沢山の法律の概要とその歴史が書かれていて非常に面白い。災害について書かれた法律は数多くあるが、どこまで知識として蓄える必要があるか、また賢い大人としてどのレベルに達するべきか、とこのようなことを話した。

 災害時、法律を知らなければその恩恵を受ける事ができないといったものは少なくない。「法律は弱いものの味方でなく、知っているものの味方」という性質が顕著に現れてしまうのが災害だ。であるなら、基礎的な法律を把握しておくのが賢い大人だろう。後から知らなかったなんて言い訳は通用しない。自分や家族の命と生活を守るためには知識というものは大きな役割をもつだろう。

 どのレベルに達するかという議論に対しての答えとして岩波文庫が挙げられる。学術書として優秀なこの岩波文庫を読んで知識を積み上げることが、賢い大人の証明になる。この残りの大学生活でどれだけこの岩波文庫を読めるか、一つの課題だ。そして、積み上げた先に賢い大人の称号を手に入れたい。