#222 帰還

 10年前の悲劇からの帰還が始まる。被災者からは歓喜と戸惑いの声。今も記憶に残る東日本大地震東京電力福島第1原発から南西5キロは原発事故後に「帰還困難地域」に指定された。そして政府は来春以降区域の一部で避難指示の解除を進める方針のよう。復旧なのか復興なのか目指すべき所を意味のあるものにしなければならない。

 今後帰ることができないという認識をされていた帰宅困難区域。2013年、政府は住民の避難先での定住を支援する方針を閣議決定した。しかし、2016年区域内の放射線量が下がっている事を理由に「帰還できる」環境づくりを始めた。ただ、避難先で安定した暮らしを確立している住民からすると今更帰還可能と言われても遅すぎる。コロコロ変わる政府の対応は住民たちを混乱させた。

 今更感の強い方針で、さらに帰還希望の住民も数少ない。政府はそこにインフラ整備などで3千億円投じるみたいだ。復旧・復興に手掛けることは大事だが需要と供給のバランスを考えるべきである。東日本大震災後、必要のなかった復旧・復興は数多くあった。資金も莫大だったため、痛手は大きい。この類には慎重さと丁寧さが求められる。