#234 RCEP

 日中韓東南アジア諸国連合など15カ国が参加する「地域的包括的経済連携(RCEP)」が来月1日に発効する。アジアの成長力を取り込むカギとなる一方、この経済圏で中国が影響力が際立つことになる。北京五輪への人材派遣を米国などに乗っかり停止すべきだと考えていたが、RCEPの存在により慎重に進めるべき案件となってしまった。

 政府は、RCEPによって関税の削減や撤廃などが進むと、最終的にGDPが2・7%(15兆円)押し上げられると試算した。サプライチェーンや競争力の強化がもたらすものは非常に大きい。しかし、日本にとってはインドの不参加が痛手だ。中国に対する貿易依存度は高まり、影響力も増す。アジアを牽引する日本像が遠のく一方だ。

 米中対立が進む中、RCEPによる中国の影響力の増大が米国にとっては面白くないのは当然。米国と中国の両国とも良い関係を築き上げるのはますます困難になる。外交と経済の両立。岸田氏の聞く力の技量が試される。