#98 意味のないものにしない

 ケンタッキーフライドチキンの創業者であるカーネルサンダースは言った。「一番大切なことは、誰か他人のために善きことを行うにしても、やってしまったことを償うにしても、人生に無駄なことはない。すべての行いに意味がある」。

 この言葉を、綺麗事という人もいるかもしれない。しかし、物事を自分の物差しで測り、無駄ならやらない、無駄でなければやるという人間とそうでない人間には大きな差があると思う。つまり、すべての行いに意味があると思っている人間の方がよっぽど良い人生を送れるのではないかという事だ。

 昨日、先輩からある依頼が入った。

「今日中に書類を作って欲しい。データ送るから把握しておいて」。

急な連絡に驚いたが、急いでいる様子だったので行っていた課題の作業を止め、すぐさまパソコンを開く。そして1時間半の間、パソコンと睨めっこ。やっとの思いで書類を完成させた。

「書類ラインで送っておきました、確認お願いします」。

先輩に電話で書類が完成したと報告した。

「申し訳ない、書類ダウンロードできるサイトがあるみたいで、そこからダウンロードして欲しい。それからデータ入力して」と、気まずそうに先輩は言った。

この1時間半の頑張りはなんだったんだろうか。そう思いつつ次の依頼に取り組んだ。

 意味のない1時間半。そう決めつければそうなのかもしれない。しかし、1時間半パソコンを操作していた事で、パソコンをより効率的に使えるようになったかもしれない。あるいは、今回先輩に振り回されても嫌な顔せず対応したことは、将来社会人になっても役立つかもしれない。意味のないものと思った時点で多分意味のないものになってしまうのだと思う。何事も、意味のないものにしないという心意気が重要なのかもしれない。