#103 素朴実在論

 ー素朴実在論。自分の感覚器で感じられるものは実在し、反対に感じられないものは存在しないという古い考えのことである。今でこそ、知覚できないものであっても実在しているものはやはり実在しているのだという見解は知識として普及した。しかし、少なからず自分が知覚できるものだけが知覚したように実在し、知覚できないものは実在していないに決まっている、と素朴に思う人間は存在する。悲しいものだ。

 本日、昨日放送された熱海の土石流とリニア中央新幹線について有識者で深掘りしていく池上彰の特番を拝見した。熱海については、盛り土の指摘。リニア中央新幹線については、JR東海静岡県知事、他県の人々らのそれぞれの見解を放送していた。

 リニア中央新幹線の静岡工区着工について断固反対だった私だが、色々な視点からの意見を伺い少し考えが変わった。というもの、リニア中央新幹線の完成により、未来の子供達が幅広い範囲で通える学校を選べるという長野県民の声に、リニア中央新幹線の有用性を感じさせられたからだ。長野県から東京まで交通機関を使ってかかる時間は4時間。長野から東京の学校に通うという選択肢はないのも当然だろう。zoomの普及により、ますます有用性の感じなかったリニア中央新幹線だったが、子供達の教育多様性の観点を考えるとやはりそうとも言えないものだと感じた。

 全体を見ずに、断固反対だったリニア中央新幹線問題。まさに、素朴実在論のような古い考え方をしていた。賛成に考えが変わったわけではないが、見方が変わる良いきっかけに出会えた。物事を考える際はまず概観する事が求められる。良い勉強になった。