#113 名誉のないボランティア

 東京都心の高級ホテルに滞在する国際オリンピック委員会(IOC)や各国・地域のオリンピック委員会(NOC)役員の案内や通訳などを務めるボランティア、通称「オリンピック・ファミリー・アシスタント」。東京五輪を下支えしている彼らは運営上のトラブルに巻き込まれ、困惑している。新型コロナウイルスの感染急拡大も重なり、思い描いていた五輪との落差に戸惑いを感じる人たちもいるそうだ。

 本来、名誉であるはずのオリンピックボランティア。しかし、オリンピックを快く受け入れる人ばかりでなく批判も多い。飲食店を経営している人達は、営業時間短縮や酒類提供制限などの要請を出され、なお給付金の配布がままなっていない中、世界最大のイベントの強行に嫌気がさしているのではないか。ボランティアに参加しているある男性は「嫌がらせに遭わないか不安」と胸の内を語った。

 批判・非難の受け口になるのはいつも現場。オリンピック組織委員会の現場任せ主義が見て取れる。この穴だらけの運営方法をどう改善していくか。あるいは改善できるのか。疑問に思う。